インコの手紙
ずっと探していた本を見つけることができました。
- 作者: あきばたまみ
- 出版社/メーカー: 経済界
- 発売日: 2015/12/08
- メディア: 単行本
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11年前に父が亡くなって間もない頃に、書店で目についてパラパラとめくってみた絵本でした。
その時の私の心に必要な言葉がその本の最後には書いてありました。
父からの言葉のようで涙が出てしまいました。
しばらくして、書店に行くと同じ場所にはなく。
最後の言葉ばかり頭に残っていて、題名も覚えてない。
内容もペットと飼い主の子どもの話だったけど、犬だったかな?...って。
その後もそれっぽいのはないかなといろんな書店で探すけど見当たりません。
諦めて忘れていましたが、
昨日父のことを思っていた時に、その本のことも思い出しました。
そして「あっ、飼っていたのは鳥かも…」と。
ネットで 「本 飼っていた鳥が死んだ」で検索してみると
ありました。
「インコの手紙」
(今は「インコの手紙 完全版」が出ていました。)
これだ~
飼い主の女の子にインコが伝えたい想い...。
『正直いうと ぼくはあなたがキライです』
という言葉からはじまります。
動画もありました。
音を消して見ると
やっぱりあの絵本だ。
そしてやっぱり泣けます。
私の父は褒めません。悪い所を見つけては文句ばかり言う。機嫌が悪いと怒鳴る。私はそんな父が小さい時から好きではありませんでした。
ヘビースモーカーでお酒もいっぱい飲むし、尊敬できないとも思っていました。
実家で暮らしていましたが、食事の時くらいしか顔を合わせずそんなに会話もありません。
父は定年まで家族のために働いて、やっとのんびり過ごし始めた頃に、声がかすれてきて・・・。
食道がんに侵されていることがわかりました。手術はもうできないくらい進行していました。
放射線治療、抗がん剤治療。食事も喉を通らなくなり身体も痩せてとても辛そうですが、弱音は言いません。
何もしてあげられず、唯一食べやすいプリンやゼリーを買って帰ると喜んでくれました。
しばらくして入院生活になりましたが、お見舞いは休日に家族の誰かと一緒に行っていました。
職場から病院が離れていて仕事帰りになかなか寄れないということもありましたが、
一人ではお見舞いに行けませんでした。
それでも一度一人で仕事が終わって面会時間ギリギリに行ったことがありました。
二人っきりでじっくり話すことがないので、何を話していいのか分からず...。
体調の具合とか話したと思います。
それでも父はうれしそうな顔を見せてくれました。
緩和ケアの病院に転院予定でしたが、退院する前に病状が悪化しました。
危なくなっては声をかけると目を覚まし、声がほとんど出ませんが何か言いたそうでもありました。
意識がなくなっても半身だけ腕を上げるようにずっと動きます。最後の最後まで生きたいという思いが伝わりました。
父は最後まで「痛い辛い」などとは言いませんでした。強い姿を見せたかったようです。
最後は体中をさすってあげながら「よく頑張ったね」と見送りました。
私には後悔があります。
本当は亡くなる前に髪の毛を切ってあげたかった…。
私は美容師免許を持っていて、美容師は5年で辞めてしまったけど、母や姉の髪はたまに切ってあげていました。
父の髪は「お父さんの髪形はよく分からない」と言い訳をして、切ってあげたことはなかったのです。
私は親孝行らしいことしてあげてない…。
亡くなってから父なりに家族のために頑張っていた所をいろいろ思い出します。
私の中の後悔の気持ちと悲しみ…。
そんなときに出会った心の支えになった絵本です。
「お父さんありがとう。感謝しています」
今でもときどき心の中で感謝の言葉を伝えています。